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2025年1月10日

介護福祉士国試改革 厚労省が「パート合格」の導入に踏み切った理由

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《 厚労省 社会・援護局 福祉基盤課 吉田昌司福祉人材確保対策室長 》

厚生労働省は来年度から、介護福祉士の国家試験のルールを大幅に変える。複数の科目ごとに合否を判定する「パート合格」の仕組みを新たに導入する。【Joint編集部】

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介護福祉士の資格を目指す人は、現場で働きながら勉強を重ねている介護職が圧倒的に多い。当事者や事業者らにとっては、大幅な負担減につながる朗報と言えそうだ。


厚労省はこの見直しにどんな思いを込めたのか。これまでの検討過程では何を重視してきたのか。担当の吉田昌司福祉人材確保対策室長に直接話を聞いた。

【要チェック】介護福祉士国試、パート合格の3つのポイント!


◯ 現行で計13ある科目を大きく3つに分割。初回でその全てに合格できなかった場合、2回目以降は不合格パートのみ勉強して受験することも可能。


◯ 合格パートの免除はその後2年間(翌年と翌々年)。仮に毎年1パートずつ合格していけば、3年間で段階的に資格を取得できる。


◯ 有識者の検討会で具体的な議論を重ね、昨年秋に方針を決定。厚労省は2025年度に実施する国試からの導入を予定し、準備を進めている。

※ パート合格導入の厚労省検討会の資料はこちら

《関連記事》介護福祉士の国試を大改革 来年度から「パート合格」導入 厚労省
《関連記事》大改革の介護福祉士国試、パート合格の受験方法や科目の分け方は?

吉田室長はインタビューで、「介護職の皆さんのキャリア形成を後押ししたい。目指す将来像を実現しやすくしたい」と力説。「合格基準は下げず、資格の価値を下げるものでは決してない」と強調した。

※ 吉田室長のインタビューは前後編。後編は近日配信予定。

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  −− パート合格を導入する狙いを教えて下さい。

《 厚労省 社会・援護局 福祉基盤課 吉田昌司福祉人材確保対策室長 》

高齢化が進み、単身高齢者や認知症高齢者が増加する中で、多様なニーズに対応できる高度な専門性を持つ介護福祉士の役割が、ますます重要になっています。


ただ、介護福祉士の国家試験の受験者数は減少傾向にあり、ここに問題意識を持っています。最近では、働きながら国家試験を受験する方が8割を超える中、対策を講じなければいけません。


現場の皆様とお話すると、働きながら資格を取ることの難しさをよくお伺いします。キャリアアップしたいと頑張って挑戦を始めたものの、その大変さ、忙しさから途中で諦めてしまうケースがあるという声もよく聞きます。


パート合格の導入の狙いは、資格を目指す人の背中を押すことにほかなりません。日本人、外国人にかかわらず、働きながら挑戦しやすい仕組みを作り、資格を取得できる環境を整備することが目的です。この道で頑張る人を後押ししたい。それが我々の思いです。


  −− これまでの検討過程で重視したポイントはどこですか?


介護福祉士の質が低下するのではないか、という懸念の声も頂きました。そうした事態を招かないように、関係者の意見も聞きながら、検討会でご議論いただき、取りまとめていただきました。


大前提として、合格基準を下げる措置は講じません。より弾力的な合否判定の適用を求める声もありましたが、パートごとに一定の水準を超えることを求める厳格な合格基準を設けることにしました。


有効期限の導入も非常に重要です。急速な介護現場の変化・進化に対応し、質をしっかりと担保する制度設計になっています。

今も一部に「質が低下する」という声があると聞いています。取りまとめられた内容を、我々がこれまで以上に丁寧に情報発信していかないといけないと感じています。


超高齢社会の複雑なニーズに応えられるよう、専門性の高い介護福祉士を中長期的に養成・確保していくためにはどうすればいいか。パート合格の導入は、そうした観点で有識者にご議論いただいて決めたものです。国家試験が介護福祉士としての知識・技能を担保する重要なものであることは変わらず、資格の価値を低下させるものではありません。


  −− 現場で働きながら資格を目指す人へのメッセージをお願いします。


今日も非常に重要な仕事をして下さっている皆様に心から感謝しています。


介護福祉士の国家試験の受験を迷っている方、忙しくてなかなか実行に移せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。パート合格が新たに導入されると、これまで通り働きながら勉強を重ねる形にはなりますが、従来より挑戦しやすくなると考えています。


皆様の介護職としてのキャリア形成を後押ししたい。目指す将来像を実現しやすくしたい。これこそが見直しの目的です。皆様が更にご活躍できるよう、私たちも制度面からの全力支援を続けていきたいと思っています。


  −− 介護職を後押しする取り組みの一環として、厚労省は新たなキャリアモデルを構想していると聞きました。


そうなんです。皆さんの選択肢、活躍の幅を広げ、それぞれが望む姿を目指せるようにする観点から、新たに「山脈型」のキャリアモデルを提案しています。従来の「富士山型」を発展させたものです。


後編に続く。近日配信予定。>>>


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