【石山麗子】静かに進む“大転換” 骨太方針の読み解き方 制度改正の羅針盤がここに


6月13日に「骨太の方針2025」が閣議決定されました。「介護」という文字が前面に出てこないため、関心を持つ人は多くないかもしれませんが、実はとても重要です。【石山麗子】
「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」は、日本政府が毎年発表する経済や社会の基本方針で、翌年度の予算や政策の方向性を決めるものです。国全体の方針を示しており、その1つに介護があります。つまり、これを読めば来年はどういう方向性で予算がつきそうかを知ることができます。
2025年度は介護保険制度にとって重要な年です。夏頃から次期(2027年)介護保険制度改正の議論が本格化するからです。「骨太の方針2025」は2026年度を示しているため、2027年度以降の介護保険制度改正を議論する羅針盤となります。
では、「骨太の方針2025」がどのような内容だったのか、ポイントを見ていきましょう。
◆ 骨太の方針2024と2025の違い
「骨太の方針」は毎年進化しています。現在は「骨太の方針2024」の実行段階にあるため、2024年と2025年を比較していきます。
両者の違いをキーワードで示すと、2024年は「検討と準備」、2025年は「実行と改革」です。つまり、「これからどうしよう」という段階から、「どう変えるか、具体的に動き出す」段階へ進化したといえます。では、主な違いを見ていきます(表)。
2024年は主に少子高齢化への対応、医療と介護の改革、デジタル化、財政の健全化が中心です。医療・介護分野では、病院や介護施設の働き方やサービスを見直すこと、その方策としてデジタル化により紙の作業を減らすことがあげられました。

2025年は、介護職の処遇の改善や「コストカット型からの転換」など、人への投資を重視する方向が打ち出されています。ケアマネジメントでは、質の向上を目指し、評価の仕組みや報酬の見直しが進められていきます。
わが国は2040年以降を見据え、政府でさまざまな会議が展開されています。今後は、中長期を見据えた時間軸と「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の地域類型を想定した政策を踏まえた、地域包括ケアシステムの深化が想定されています。こうした考えに基づく地域医療構想や医療・介護連携が必要とされていくため、ケアマネジメント機能への期待が一層高まっています。
