人員配置基準の緩和で過疎地に特別ルール 厚労省案 介護体制維持へ既存の特例を拡張


厚生労働省は8日、2027年度の介護保険制度の改正に向けた議論を重ねている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)を開き、施策の肉付けを進める具体的な協議を開始した。【Joint編集部】
介護ニーズの縮小や一層深刻な人手不足などに直面する中山間・人口減少地域で、必要な介護サービスの提供体制をどう維持していくべきか。これが今回のメインテーマとなった。
厚労省は中山間・人口減少地域に限った特別ルールを新たに設けることを提案。現行の「特例介護サービス」の枠組みを拡張し、管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件の緩和などを実施してはどうかとした。
事業所・施設の人員配置基準を弾力化することで、プレイヤーの相互連携や人材の有効活用、体制の合理化などにつなげる狙いがある。
現行の「特例介護サービス」には大きく2つの類型がある。
1つは「基準該当サービス」。国が定める人員配置基準などを満たしていなくても、都道府県が条例で定める基準を満たしていれば保険給付の対象にできる仕組みだ。
もう1つは「離島等相当サービス」。離島や過疎地、豪雪地、辺地など国が定める地域に限り、国の基準を満たさないサービスの保険給付も市町村の判断で認めるものだ。
いずれも中山間・人口減少地域で既に運用されており、通常の指定サービスと比べて柔軟性が高い。自治体が地域の実情を踏まえ、人員配置基準などを独自に定められる点が特徴となっている。
◆ 詳細な制度設計はこれから
厚労省は今回、こうした「特例介護サービス」を拡張して有効に活用してもらうことにより、中山間・人口減少地域で人員配置基準の緩和などを実現できるようにする案を提示した。
居宅サービスだけでなく施設サービスにも適用する考え。制度の詳細はこれから詰めていく。厚労省の関係者は会合後、緩和した人員配置基準を実際に定める主体やプロセスなどについて、「そこも今後の重要な検討課題」と説明した。
こうした特別ルールを適用する対象地域も明確に定める方針。厚労省は既存の「特別地域加算」のターゲット(*)を基本とし、人口減少など地域の実情を踏まえて更に広げることを提案した。国が考え方を示し、市町村の意見も考慮して都道府県が対象地域を定める方式を、決め方の一案として提示した。
* 離島や過疎地、豪雪地、辺地など、離島等相当サービスの対象地域とほぼ同じ。