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2025年12月3日

訪問介護の倒産、今年も過去最多を更新 11月時点で85件 中堅にも波及=東京商工リサーチ

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訪問介護事業者の倒産件数が今年も過去最多となったことが分かった。【Joint編集部】

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東京商工リサーチの最新のまとめによると、今年1月から11月の倒産件数は85件。年間で最多だった昨年の81件を既に上回り、3年連続で過去最多を更新した。経営環境が厳しさを増すなか、サービスの提供を続けられなくなる事業者が後を絶たない。

深刻なホームヘルパーの不足に加え、物価の高騰や人件費の高まり、競争の激化などが背景にある。昨年度の介護報酬改定で国が基本報酬を引き下げたことも、多くの事業者にとって手痛い打撃となっている。


倒産の原因では、十分に稼働を増やせず売り上げが低迷する「販売不振」が全体の83.5%を占めた。倒産した訪問介護事業者の規模は、職員10人未満が87.0%と零細が大半。ただ、負債1億円以上の倒産も10.5%あるなど、影響は中堅にも広がってきている。

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政府は11月28日に閣議決定した今年度の補正予算案に、訪問介護事業者への支援やホームヘルパーの処遇改善を具体化する補助金の財源を盛り込んだ。ただし、目下の深刻な事態を好転させる効果があるかどうかは不透明。東京商工リサーチは、賃上げの遅れが人材難の加速を招く「悪循環に陥っている」と分析する。


淑徳大学・総合福祉学部の結城康博教授は、「地域による違いはあるものの、訪問介護は制度あってサービスなしの状況。すでに地域包括ケアシステムのメルヘン化が鮮明になりつつある」と指摘。「昨年度に介護報酬を引き下げた影響が大きい。来年度の報酬改定で、訪問介護の基本報酬は最低でも5%の引き上げが必要」と述べた。


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