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2026年1月14日

来年度の介護報酬改定、+2.03%は「過去最高水準」 厚労省が審議会に報告 委員からは注文相次ぐ

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《 厚生労働省 》

来年度に実施する臨時の介護報酬改定について、政府は昨年末に大枠の方針を決定した。介護現場の関係者らも参画している審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)は昨年末の会合で、厚生労働省からその方針の報告を受けた。【Joint編集部】

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全体の改定率はプラス2.03%で、その大部分が介護従事者の賃上げに充当される。2%を超える改定率は、「特定処遇改善加算」の創設や消費増税への対応などが重なった2019年10月の臨時改定(2.13%)以来。介護現場の人材不足が深刻化の一途を辿るなか、相応の厚みを持った引き上げが実現することになった。


会合では委員から、こうした政府の判断に対し「明るいメッセージになる」と評価する声が上がった。その一方で、物価高などで足元の経営環境は依然として厳しいと指摘する意見も続出。デフレ経済下では問題視されなかった「3年に1度」という改定サイクルの見直しなど、今後を見据えた「注文」が相次ぐ展開となった。


厚労省は今回、来年度の臨時改定で全職種を対象とした月額1万円の賃上げに加えて、生産性向上に取り組む事業者の介護職員へ最大9千円(定期昇給分を含む)を上乗せする措置を講じると報告した。また、これまで対象外だった訪問看護や居宅介護支援なども新たに「処遇改善加算」の対象に加えると説明した。


あわせて、介護施設の食費を賄う「基準額(基準費用額)」を1日あたり100円引き上げる意向も示した。説明の締めくくりには、2027年度の報酬改定までの単年度の措置であることなどを念頭に、今回の改定率について「実質的には過去最高水準」と強調した。

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こうした説明を受けて、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、「過去最高規模の改定率は介護現場にとって大変心強い数字」と評価。「業界への明るいメッセージになる」と歓迎した。


一方で、食費の基準額の引き上げが1日あたり100円だったことなどを念頭に、「今年度もかなりの勢いで物価が上昇している。2027年度の報酬改定に向けて、物価の上昇に置いていかれないような対応をしっかり検討してほしい」とくぎを刺した。


日本介護支援専門員協会の濵田和則副会長は、居宅介護支援などが新たに「処遇改善加算」の対象に加えられたことに謝意を示した。


そのうえで、「他産業の賃上げの状況と比べるとまだ差がある」と述べ、継続的な賃上げの実施を要請。2027年度の報酬改定に向けて、居宅介護支援事業所の生産性向上の取り組みやケアマネジャーの専門性などを適切に評価し、追加的な措置を十分に講じるよう求めた。

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また、日本医師会の江澤和彦常任理事は、「デフレ時代と変わらない3年ごとの報酬改定では、もう立ち行かないことは明白」と問題を提起した。そのうえで、物価や賃金の上昇に迅速に対応できる報酬改定の新たな仕組みを検討すべきと提言した。


このほか、NPO法人高齢社会をよくする女性の会の石田路子副理事長は、訪問介護事業者の倒産件数が過去最多のペースで推移している現状に言及し、「昨年度の基本報酬の引き下げが大きな打撃になっている」と指摘。「現場は深刻な人材不足に加え、人件費やガソリン代など運営コストの高騰にも苦しんでいる。基本報酬の見直しをいち早く検討してほしい」と訴えた。


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