厚生労働省は19日、来年度の障害福祉サービス報酬の臨時改定に向けた検討状況を審議会(障害者部会・障害児支援部会の合同会議)に報告した。【Joint編集部】
一部の事業所の基本報酬を引き下げる方針などが議論の的になった。費用の急増などに歯止めをかけたいとする厚労省に対し、委員からは手法の強引さや現場への副作用などを懸念する声が相次いだ。
厚労省が打ち出しているのは、就労継続支援B型、共同生活援助(グループホーム)、児童発達支援、放課後等デイサービスの4類型を対象とした“適正化”だ。今年6月以降、新たに指定を受ける事業所に限って現行より低い基本報酬を適用する。
近年の事業所数の急増を踏まえた措置。費用の膨張を抑制することに加え、人材不足の一層の深刻化やサービスの質の低下を防ぐ狙いがある。厚労省は会合で、「制度の持続可能性の確保」に向けて来年度に「臨時応急的な見直し」を行うと説明した。
◆「真面目に運営している事業所まで…」
こうした厚労省の方針に対し、意見交換の中ではその趣旨に一定の理解を示す声が聞かれた。ただ、具体的な手法をめぐっては委員から異論が続出した。
委員のひとりは、「数が増えたから基本報酬を引き下げるという議論は乱暴だ」と反発。基本報酬の引き下げは、職員の給与のカットやサービスの質の低下につながると問題を提起した。
別の委員は、「そもそも事業所を指定しているのは自治体だ」と指摘。「自治体の指定の結果責任を、事業所が基本報酬の引き下げという形で負うことに大きな疑問を感じる」と不快感をあらわにした。
4類型の基本報酬を一律に引き下げることへの不満も噴出した。
例えば、視覚障害者や重度者への対応といった専門性の高いサービス、資源の乏しい地方などそれぞれの実情を考慮し、「本当に必要な事業所の参入まで抑えてしまうことにならないよう注意すべき」「地域ごとのサービスのニーズ、充足状況を勘案すべき」といった要請がなされた。
このほか、「真面目に適切な支援を提供している事業所が、不適切な事業所の影響で基本報酬を引き下げられることは看過できない」と訴える委員もいた。
厚労省は今回の措置について、来年度に限った「臨時応急的な措置」だと繰り返し説明。2027年度の定期改定に向けて、施行後の影響を検証しつつ必要な対応策を検討していく構えをみせている。
一方、現場の関係者の間では、いったん下がった基本報酬を元に戻すことは容易ではないという現実も踏まえ、経営面の中長期的な打撃は不可避という警戒感が広がっている。健全な事業者の拠点整備の意欲まで冷え込ませるなど、今後に及ぶ影響は大きいという見方も浮上している。
費用の無秩序な膨張を抑える努力が重要なことは論を待たないが、臨時改定での基本報酬の引き下げは異例。毎年の費用の急増を受けた厚労省の踏み込んだ判断は、施行前から業界に大きな波紋を広げている。その妥当性をめぐる議論は今後しばらく尾を引きそうだ。










