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2026年1月21日

【壷内令子】ケアマネの新サービス類型の衝撃 居宅介護支援の事業者が備えるべきリスク

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《 株式会社ウェルネス香川・壷内令子代表取締役 》

昨年末、厚生労働省はケアマネジメントの新たなサービス類型の創設を決定しました。より詳細な制度設計はこれからですが、私はひとりの経営者として、この議論の行方をかつてない緊張感を持って注視しています。【壷内令子】

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その衝撃の大きさは、居宅介護支援の担い手にとってかつてないほど大きなものとなるかもしれません。事業所によっては、今後も存続できるか否かという重大な岐路に立たされる可能性もあるでしょう。


国の制度改正は粛々と進むもので、我々はそれを淡々と受け入れるしかないのかもしれません。それだけに、その動向が現場にもたらすインパクトをできるだけ正確に見極めていきたいものです。


今回は、居宅介護支援事業所の経営にもたらす影響について、現時点で想定される主だったものをいくつか、実務的な視点から冷静に整理していきたいと思います。


◆ 新たなサービス類型とは


まずは、現在議論が進められている構想を確認しておきましょう。


厚生労働省は昨年末、住宅型有料老人ホーム(*)の入居者に特化したケアマネジメントの新たなサービス類型を創設する方針を決めました

* 新たな「登録制」といった事前規制の対象となる住宅型ホームが対象。

この新たなサービス類型では、ケアマネジャーが入居者のケアプラン作成と生活相談を一体的に担うこととされました。報酬体系は、現行の居宅介護支援のような出来高払いではなく、包括評価の定額報酬となる見通しです。あわせて、一定割合の利用者負担を徴収することも決定されました。


この制度改正は、これまで「居宅介護支援」として扱われていた住宅型ホームの入居者へのケアマネジメントを、地域に点在する一般の在宅から明確に切り離すことを意味します。不適切な「囲い込み」の是正も含め、より公正・中立なケアマネジメントの徹底につなげる狙いもあると報じられています


これを実務の現場に落とし込んだとき、果たして何が起きるのでしょうか。

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◆「2枚看板」が招く減収リスク


まず、住宅型ホームの入居者のケアマネジメントも担当している事業所は、制度改正後に「2枚看板」となる可能性が高いでしょう。従来の居宅介護支援に加えて、新たなサービス類型の指定も受けなければならないためです。


この場合、最大の懸念は事業所の担当ケース数や体制などの考え方が変わってしまい、既存の収益モデルが根底から崩れるリスクがあることです。


例えば、多くの事業所が経営の柱としている「特定事業所加算」や「医療介護連携加算」など。これらを取得するためには、人材の配置や体制、担当ケース数などについて様々な要件が定められています。


新たなサービス類型の創設後、もし「2枚看板」のもとで担当ケース数や体制などが分断される取り扱いとなったら、その影響は極めて大きくなるでしょう。これまで加算を取得していた事業所も、構造的に要件を満たすことが難しくなってしまう恐れがあります。ハードルが上がって大幅な減収につながるようだと、経営戦略を根本から再考しなければならなくなることは明らかです。


今後、国からどんな考え方が示されるのか。経営者は議論の動向をしっかりと注視しておかなければいけません。


◆ 業務範囲の拡大と現場のジレンマ


業務内容の変化も大きな懸念材料です。厚労省は新たなサービス類型で、ケアマネジャーに生活相談の機能も求めていく方針を示しています。


この生活相談とは何を指すのか。当然、ケアマネジャーが専門職として担うべき役割は少なからずあります。ただ、その範囲が曖昧なままでは、日常的な困りごとなど幅広いサポートをなし崩し的に求められ、シャドーワークがさらに増えてしまう結果を招くでしょう。


さらに、定額報酬の中で一定の利用者負担を徴収するという方針も掲げられています。もし、ケアマネジャーの業務に利用者負担の集金まで加えられるようになったら、事務負担の一層の増加は避けられません。


こうした状況に現場はどう反応していくのか。「リスクとコストが大きすぎて受けられない」といった判断をする事業所が出てくるでしょう。実際、住宅型ホームの入居者を断る方が経営的な合理性が高い環境となる可能性も否定できません。


経営者は今のうちから、こうした事業環境の大きな変化が生じ得ることを念頭に置いて、複線の自衛策を練った方が良いと思います。

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◆ 地方の実情も踏まえて


制度改正は決定事項として降りてきますが、その影響は地域や事業規模によって濃淡が生じるものです。今回の新たなサービス類型の創設は、地域の利用者と住宅型ホームの入居者の双方を支えている中間的な事業所にとって、特に大きなインパクトがあるのではないでしょうか。


まだ詳細は未定であり、厚労省はこれから2027年度にかけて制度設計のディテールを詰めていく構えです。


経営者としては、この制度改正を決して楽観視することなく、将来のリスクをシビアに見積もる必要があると思います。私は最悪のシナリオも想定しつつ、今後の議論の推移を、ひとりの経営者として、そして現場のケアマネジャーとして、固唾をのんで注視していくつもりです。


国にはぜひ、今後の議論を丁寧に進めていただきたいと思います。


とりわけ忘れてならないのは、地方における「住宅」のリアルだと感じます。在宅資源が豊富な都会とは異なり、地方では住宅型ホームなどが実質的な「生活の基盤」となっており、重度者を最期まで支える貴重なインフラにもなっているケースも少なくありません。


今回の制度改正によって、地域の高齢者と住宅型ホームの高齢者の双方を支えている事業所が立ち行かなくなれば、地域によっては介護基盤そのものが崩壊しかねません。そうなると結局、高齢者・家族や現場のケアマネジャーが割りを食うことになるでしょう。


都会の論理だけで議論を進めるのではなく、こうした地方の実情も直視したきめ細かい制度設計をしていただくよう切に願います。


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