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2022年6月20日

【解説】ケアマネの法定研修、見直しへ カリキュラムはどう変わる?

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画像はイメージ

厚生労働省はケアマネジャーの法定研修のカリキュラムを見直す方針だ。今年4月には通知で現時点の具体案も公表した。

カリキュラムはどのように変わるのか? 国の検討会に有識者の1人として関わってきた日本介護支援専門員協会の能本守康常任理事に、見直しのポイントを分かりやすく解説してもらった。今回から2回に分けて伝えていく。【鈴木啓純】

  −− どの法定研修が見直しの対象となるのでしょうか?

日本介護支援専門員協会・能本守康常任理事

基本的に全てですね。実務研修、専門研修I・II、主任研修、主任更新研修。厚労省が昨年から検討会を開催し、専門家、関係者とともに詳細な議論を重ねてきた経緯があります。

  −− なぜカリキュラムの見直しが必要なのでしょうか?

時間が経過するにつれて、介護支援専門員に求められる知識、技術、役割も少しずつ変わっていきますよね。現行のカリキュラムは2016年に決められたもの。既に5年以上経過しました。もともと十分に練られている内容ではありますが、必ずしもカバーしきれていないこと、マッチしなくなってきたことも出てくるでしょう。

もちろん、見直しは全国の研修受講者の様々な声に耳を傾けた結果、と言うこともできます。現場で活躍する介護支援専門員が求めていることを、できる範囲で反映させていくこともやはり大切ですよね。カリキュラムには定期的なアップデートが不可欠で、今回そのタイミングが来たということです。

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  −− 見直しのポイントを教えて下さい。

制度改正・報酬改定は3年ごとに行われています。まずは最新の動向がしっかりと取り入れられることになるでしょう。

新たな概念の追加も重要です。例えば「地域共生社会」の実現。「認知症施策推進大綱」に盛り込まれたコンセプト、施策などもそうですね。これらは最近になって出てきた話ですが、抑えておくべき関連知識には非常に重要なものが多くあります。全ての介護支援専門員に伝えていくべきことではないでしょうか。

もっとも、研修全体の時間をいたずらに長くすることは好ましくありません。この辺りはどうしてもやむを得ない部分だと捉えられています。

  −− 他にはどんな視点が加えられますか?

そうですね。特筆すべきは要介護者らの家族についての考え方ではないでしょうか。

介護保険制度が導入された頃を振り返ると、家族に対する支援は今ほど十分に検討されていませんでした。ただ時代が変わり、最近では老々介護やヤングケアラーなどの問題が顕在化してきていますよね。そうした中で、政府は例えば「介護離職ゼロ」の実現に向けた施策も推進しています。

私たち介護支援専門員も、家族に対する支援にしっかりと目を向けなければいけません。そのための内容が、新たなカリキュラムにはしっかりと位置付けられていくことになります。

  −− 近年注目されている科学的介護の視点はどうですか?

言い忘れてはいけませんね。それも非常に大切な要素です。

介護保険制度では今後、従来通りのサービスの価値を引き続き大切にしていきながら、データに基づく効果的なケアの実践がより重視されていきます。当然、新たなカリキュラムもそうした視点を盛り込んだものとなるでしょう。「LIFE(科学的介護情報システム)」の利活用も含め、科学的介護の時代に対応した学びの機会がしっかりと確保されなければいけません。

  −− となると研修を受けるケアマネさんは、これまで以上に大変になりそうですね。ただでさえ忙しいのに…。

第2回へ続く…。

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