第一法規 介護ねっとシリーズ
2026年4月8日

【壷内令子】揺らぐ居宅介護支援の基盤。ケアマネ不足の今こそ、ライバル意識を捨ててスクラムを組むべき理由

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《 株式会社ウェルネス香川・壷内令子代表取締役 》

少なからぬ地域で今、ケアマネジャー不足によって居宅介護支援の基盤そのものが揺らぎつつあります。【壷内令子】

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制度改正・報酬改定やデジタル化への対応など、現場に求められることも増え続けています。だからこそ、大切な資源をどう守っていくのかという視点から、改めて「地域づくり」を考える必要があるのではないでしょうか。


「地域づくり」と聞くと、どうしてもスケールの大きな話題だと感じてしまいます。多職種連携、地域包括ケア、社会資源の開発…。もちろんどれも大切なことです。


ただ、現場で働くケアマネジャーの1人として思うことは、目指すべき理想的な「地域づくり」の姿を構想しつつも、まずは足元の課題に目を向けるべきではないかということです。


◆ 孤立しやすい「1人ケアマネ」


大きな課題の1つが、ケアマネジャー同士の横のつながりの弱さです。特に、1人で居宅介護支援事業所を運営している方、いわゆる「1人ケアマネ」は孤立しやすい立場にあります。


困難事例に直面した時、急に体調不良となった時、制度改正への対応に迷った時などに、気軽に相談できる相手がいない。そんな状況は決して珍しくありません。


もちろん、自ら積極的に行動して仲間を見つけ、他の事業所とのつながりを作っている方もいます。一方、必ずしもそうでない方もいますし、あえて1人で活動する道を選んでいる方もいます。


どのようなスタイルであっても、1人で事業所を運営する負担は決して軽くありません。利用者の支援だけでなく、事業所の管理運営、各種書類への対応、研修の受講、制度改正への備えまでも必須なわけですから、どうしても悩みや不安を抱え込みやすくなるでしょう。


そこで、必然的に他の事業所との連携や情報交換が大切になります。


ただ地域をみると、こうした協力を「特定事業所加算」の算定を目的として行う事業所が多いため、どうしても要件を満たす規模の大きな事業所のみで手を組みがちなのが実情…。1人ケアマネなどの小規模な事業所は、そうした機会を得にくい面があることは否めません。


ここに課題があります。実際には小規模な事業所こそ、困難事例の検討、急な不在時の備え、継続的なスキルアップ、デジタル化への対応などで、他の事業所との連携や情報交換が必要なのではないでしょうか。困った時に相談できる関係、相互に学び合えるつながりを持てるような仕組みが、もっと必要だと感じています。


小規模な事業所や1人ケアマネが経営者の場合、「ケアプランデータ連携システム」の導入が要件の「処遇改善加算」をあえて取らないという判断をする方もおられるでしょう。今後は「介護情報基盤」の活用など新たな対応もさらに求められていきます。


そうした状況のなか、事業所の運営に必要な支援や情報が届きにくいままとなれば、孤立はさらに深まってしまいます。

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◆ 本音をこぼせる“サロン”を


事業所の横のつながりが広がりにくい背景には、「お互いがライバルでもある」という事情もあると思います。


それは現実として理解できます。しかし、ケアマネジャー不足がここまで進み、居宅介護支援の基盤そのものを守ることが課題となっている今日は、同業者のライバル意識だけで立ち止まっている場合ではありません。


必要なのは、地域のごく狭い範囲で、少人数で、困りごとを気兼ねなく話せる場ではないでしょうか。大きな研修会や法定研修はもちろん重要です。ただ、それとは別に、もっと小規模で、本音をこぼせる場があってもよいのではないかと思います。


困難事例のことを相談したり、日々のシャドウワークを共有したり、デジタルが苦手なら教え合ったりする。そんな“サロン”のような場が、これからますます必要になると思います。


よりスケールの大きな構想のもとで、小さなことから着実に進める「地域づくり」もあってよいと思います。支える側が孤立しないこと。まずはそこからではないでしょうか。


ケアマネジャー同士がつながることは、単に友だちを作ることだけが目的ではありません。地域の居宅介護支援の基盤、ケアマネジメントを維持し、介護サービス提供体制を守ることに結びつきます。


「地域づくりは、まずケアマネジャー同士のつながりから」。私たち居宅介護支援の担い手にとって、そんな意識がますます必要になると感じています。大規模な事業所の方々にも、ぜひこうした視点から小規模な事業所との連携を大切にしていただきたいと思います。


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