2022年12月20日

特養の特例入所、1割強の市町村が「運用されていない」 厚労省 適切な対応を促す方針=介護保険部会

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《 厚労省 》

特別養護老人ホームに入所できるのは原則として要介護3以上の高齢者だが、やむを得ない事情がある場合は要介護1・2でも入所することができる。この「特例入所」の運用状況について、厚生労働省は全国の自治体に尋ねた結果を19日に公表した。【Joint編集部】

それによると、全体の約1割が「運用されていない」と答えていた。


87.4%は「運用されている」。一方、「指針が定められておらず、運用されていない」は9.1%、「指針は定められているが、実質的に運用されていない」は1.6%で、この2つをあわせると10.7%だった。


この調査結果は、厚労省が全国988の市町村の回答を集計したもの。19日の社会保障審議会・介護保険部会に報告された。


厚労省の担当者は会合で、「一部に特例入所が運用されていない地域がある。また運用されていたとしても、ローカルルールなど適切でないケースもあると考えている」と説明。制度の趣旨を改めて周知し、個々の高齢者の状況を丁寧に汲み取ったうえで柔軟な判断を下すなど、画一的でない適切な対応をとるよう促す意向を示した。

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特養の特例入所は現在、やむを得ない事情で特養以外での生活が難しい場合などに認める決まり。具体的には、


○ 認知症や知的障害、精神障害などにより、日常生活に支障をきたすような症状・行動が頻繁に見られ、在宅生活の維持が困難な状態


○ 家族による深刻な虐待が疑われるなど、心身の安全・安心の確保が困難な状態


○ 家族による支援が期待できず、地域での介護サービスや生活支援の提供も十分に期待できないことなどにより、在宅生活の維持が困難な状態


などが該当すると定められている。


ただ関係者の間では、その運用状況に自治体ごとのばらつきがあるとの指摘が多い。厚労省は今回の審議会で今後に向けて、「特例入所の趣旨の明確化を図るなど、地域の実情を踏まえた適切な運用を図る」との方針を確認した


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