2023年5月12日

財務省、物価高騰に伴う介護報酬増に難色 現役世代の負担軽減へ給付費抑制を主張 利用者負担増も

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《 財政審の会合(11日)》

財務省は11日の審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)で、今後の少子化対策や社会保障制度の改革を議論した。【Joint編集部】

現役世代の税や保険料などの負担の軽減につなげるため、医療費・介護費をできるだけ抑制していくことが必要だと主張。物価高騰で苦しむ事業者らが求めている診療報酬・介護報酬の引き上げについても、否定的なスタンスを貫いた。


介護分野の具体策としては、利用者負担の引き上げを重ねて注文している。2割負担の対象者の拡大(*)に踏み切るべきとし、「直ちに結論を」と強調。居宅介護支援のケアマネジメントで利用者負担を徴収する案も、「2027年度から導入すべき」と訴えた。


* 政府は今夏に実施の是非を判断する予定。


介護報酬の引き下げには言及しなかったが、「給付費が経済成長率以上に伸びており、現役世代の負担能力を考えると持続可能な状況とは言い難い」と問題を提起。「産業界全体、とりわけ中小企業や中小サービス業の収益がコロナ禍前から変動している一方で、介護事業者の収益は安定した伸びを示している」との見方も示した。

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あわせて、要介護1と2の訪問介護や通所介護を市町村の「総合事業」へ移管する構想にも触れ、生活援助を先行させるなど段階的にでも具体化していくよう要請。このほか、新たなテクノロジーを駆使して介護施設・事業所の人員配置を効率化すること、サービス付き高齢者向け住宅で暮らす利用者へのサービスを適正化すること、など様々な具体策を提言した。


財務省は審議会で少子化対策について、「社会・経済の参加者全員が広く負担することにより、子育て世帯が子育て期間全体で手取り増(給付増が負担増を上回る)となるようにすべき」と指摘。「医療保険・介護保険の改革を進めることで、現役世代の保険料負担の増加を極力抑える取り組みが必要」との認識を示した。


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