【村上久美子】ケアマネ資格の更新制、ついに廃止へ 現場の声が国を動かす! 孤軍奮闘で勝ち得た大きな成果
10月27日の審議会で、厚生労働省はケアマネジャーの資格の更新制を廃止する方針を打ち出しました。これは非常に大きな一歩だと評価します。【村上久美子】
◆ 現場の声を届け続けて
私たち「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」は、昨年春に始まった厚労省の検討会に委員として参画していました。
これに先立ち、組合員のケアマネジャーにアンケート調査を実施し、既存の更新制・更新研修について尋ねました。その結果、「費用が高い(78.0%)」「時間が長い(68.6%)」「回数が多い(53.4%)」など、かなりの時間的・経済的な負担となっていることが分かりました。
こうしたデータを踏まえ、NCCUは検討会で現場の声を発信しました。既存の更新制・更新研修を廃止し、必要な研修をタイムリーに全国どこでも自由に受けられるよう、オンデマンドを基本とする対応を進めるべきだと提言しました。
ところが、その後の検討会でも、厚労省の資料から「更新研修を継続して実施することを前提として…」という記載は消えませんでした。
NCCUは、現行の更新制・更新研修ではケアマネジャーに短期間かつ集中的な負担がかかるほか、必要な研修をタイムリーに受けることができない弊害も生じやすいとして、更新制の廃止と研修のあり方の見直しを訴え続けました。厚労省が言う「可能な限り経済的・時間的な負担を軽減する」というゴールを目指すのであれば、もはや資格の更新という仕組みを前提にすべきではない、と主張しました。
なお、この「可能な限り経済的・時間的な負担を軽減する」という表現も、検討会の初会合で私たちが先んじて発言したものです。その後、それをそのまま厚労省が使用していくことになりました。
更新研修を廃止すべきだと最初に訴え、この検討会で唯一その立場を明確にしていたのは私たちでした。しばらくはNCCUだけが主張する展開が続き、まさに孤軍奮闘の状態でした。私たちは現場の声を伝えただけですが、踏み込み過ぎた意見と見られることもありました。
しかし、私たちは感覚だけで発言をしてきたわけではありません。現場のアンケート結果を根拠として、厚労省に対し「私たちの立場からみると、既存の更新制・更新研修には違和感があり、とても賛成できない」と強く訴えてきました。
その結果、検討会の「中間整理」では、更新制・更新研修の存続ありきの表現が削除され、そのあり方について検討することが適当、という趣旨の文言が明記されました。
その後の審議会でも、NCCUは、この「中間整理」に基づいて諸課題を解決していくことの重要性を訴えました。時間的・経済的な負担が大きい既存の更新制・更新研修が、少なからぬケアマネジャーの引退のきっかけになっているという現場の声も紹介しました。
また、ケアマネジャーとして働くために欠かせない研修は労働時間として扱うべきこと、地域間の格差が大きい受講料は都道府県の基金などを使って公費負担とすべきことも、並行して検討するよう求めました。
◆ 人材確保に賃上げも欠かせない
そしてついに、10月27日の審議会で、厚労省から既存の更新制の廃止が提案されました。組合員の声、介護現場の声が国に届きました。
現状では、更新研修が事業所・施設での職務上必要な研修なのか、あるいは個人の資格保持に必要な研修なのかが不明確で、労働時間として扱われないケースも少なくありません。更新制の廃止は、費用負担のあり方も含め、こうした様々な課題の解決にもつながる大きな一歩だと確信しています。
ただし、今回の更新制の廃止が真にケアマネジャーの経済的・時間的な負担の軽減につながるかどうか、これからも状況を確認していく必要があると考えています。私たちは引き続き現場の声を丁寧に聞き、今後も必要な政策提言をブレずに行っていきます。
なにより重要なのは、必要な人材を確保していくことに他なりません。深刻な課題であるケアマネジャー不足は、長年にわたり「処遇改善加算」の対象外とされてきたことによる賃金の低さが大きな要因です。
更新制の廃止だけでなく、ケアマネジャーの十分な賃上げも速やかに実現すべきだと考えます。












