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2026年1月13日

【垣内達也】ケアマネ養成の大学教育が必要 高度専門職としての地位確立に向けて

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《 日本介護支援専門員協会・垣内達也常任理事 》

2000年の介護保険制度の導入以来、介護支援専門員はその要として給付全体に深く関わってきた。【垣内達也】

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多職種連携の中心的存在であり、地域包括ケアシステムのキーマンとして、医療機関、介護事業所、行政など多方面から大きな期待を寄せられている。その社会的期待は制度改正のたびに高まり、専門性の高度化も求められてきた。


しかし一方で、高齢者の在宅生活を支える現場では、介護保険制度だけでは対応しきれない課題が増加している。制度の狭間にあるグレーゾーンの問題に対して、介護支援専門員が本来の役割を超えて対応せざるを得ない状況が常態化しつつある。


こうした背景から、介護支援専門員の専門性をより明確に位置づけ、その役割を社会的に再定義する必要性が高まっている。

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しかし、地域を支えている介護支援専門員は様々な困難に直面していると言わざるを得ない。例えば、大きな課題として以下の5点があげられるだろう。


1. 業務負担の増大と専門性発揮の困難
在宅介護の要として、利用者の尊厳の保持と自立支援を実現するためには、医療・介護・地域資源との密接な連携が不可欠である。だが、シャドウワークを含む業務量の増加により、本来のケアマネジメントに十分な時間を割けない状況が続いている。専門性を発揮できる環境の整備は喫緊の課題である。


2. 資格更新研修の負担
更新研修は質の担保の観点から重要である一方、金銭的・時間的負担が大きく、介護支援専門員の離職要因にもなっている。研修のあり方を見直し、無理なく学び続けられる仕組みが求められる。


3. 処遇改善の必要性
他産業や同業他職種と比較して処遇が見劣りする現状は、人材確保の大きな障壁となっている。専門職としての責任と負荷に見合った処遇の確保が不可欠である。


4. 受験要件の妥当性
国家資格取得後に5年の実務経験を求める現行の受験要件は、若手人材の参入を妨げている可能性がある。国は3年に短縮する方針を決めたが、こうした柔軟な制度設計の早期実現が不可欠である。


5. 資格の位置づけの曖昧さ
「国家資格相当」とされながら、制度上の位置づけが明確でないと捉えられがちなことは、社会的評価の低さにもつながっている。資格の法的位置づけをより明確化し、専門職としての地位を確立することが求められる。

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◆ 大学教育の必要性


これらの課題を踏まえると、介護支援専門員の専門性を体系的に育成する教育基盤の整備が不可欠である。特に、大学教育の導入は以下の点で大きな意義を持つ。


◯ ケアマネジメントを科学的に学ぶカリキュラムの構築
◯ 多職種連携を前提とした高度なコミュニケーション能力の育成
◯ 制度理解だけでなく、倫理・地域福祉・医療知識など幅広い学術的基盤の習得
◯ 若年層の参入促進とキャリアパスの明確化


大学教育を通じて、介護支援専門員を「高度専門職」として社会に位置づけることは、制度の持続可能性を高める上でも重要である。


こうした課題に対応するため、日本介護支援専門員協会では2023年度より「介護支援専門員の地位向上および人材確保に関する特別委員会」を設置し、制度の見直し、教育体系の整備、処遇改善など多角的な検討を進めている。


今後も、介護支援専門員が専門職として誇りを持ち、地域で高齢者の生活を支える中核として、一段と活躍できる環境づくりを推進していきたい。


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