sms-sp-banner-2026.2-banner01
2026年2月25日

介護保険外サービスはブルーオーシャン 日本総研・紀伊氏 地域課題を解く「商助」と「産福共創」の可能性

このエントリーをはてなブックマークに追加
《 日本総研・高齢社会イノベーショングループ部長/プリンシパル 紀伊信之氏|2月13日 》

神奈川県川崎市で今月13日に開催された「地域包括ケアシステム連絡協議会」で、高齢者・介護関連ビジネスの領域に詳しい日本総合研究所の紀伊信之氏が講演した。紀伊氏はこの中で、介護保険制度などではカバーしきれない保険外サービスの未充足ニーズを指して、「ビジネスチャンス」「ブルーオーシャン」と説明した。【Joint編集部】

紀伊氏は単なる金儲けの話をしたのではない。


「自助、互助、共助、公助に続く5つ目に、『商助(企業・ビジネスの力)』をしっかり位置付けて地域包括ケアシステムを考えてみてはどうか」


高齢者の尊厳や権利を守る健全なビジネスの成長こそが、地域で顕在化する社会課題を解決する原動力となり、ひいては疲弊する介護現場を救う突破口にもなる。


◆ ブルーオーシャン|5つの成長領域


2040年には高齢者人口がおよそ4000万人に達し、1人暮らしがさらに一般的となる。要介護認定を受ける人以上に、フレイルや軽度認知障害(MCI)などで「何らかの支援が必要な人」が圧倒的に多い社会が到来する。家族介護や公的制度だけでは支えきれない膨大なニーズに応えるため、民間ビジネスによる適切な介入が不可欠となっていく。

NTTデータ提供 科学的介護の推進に関する記事へ

紀伊氏は、一定の収益を確保しながら社会課題を解決する保険外サービスのモデルがすでに各地で登場していると指摘。以下の5項目を今後の成長領域として提示した。

日常生活支援:見守りや家事代行、困りごとの解決など、従来は家族やボランティアらが担ってきた支援を保険外サービスで提供する。訪問介護・看護のニーズもあり、すでに民間企業の参入や専門職の副業などで持続可能なモデルが確立されつつある。

移動・外出支援:「買い物弱者」などを支える仕組みの重要性が一段と増す。行政や地元企業、利用者が費用を出し合う乗合送迎、住民のマイカーを活用した共助型のソリューションなど、既存リソースの有効活用を図る例も出てきた。

介護予防:高齢者の重度化を防ぐことは引き続き重要な課題。介護保険の総合事業と保険外サービスの組み合わせや、従来の運動・体操にとどまらない多様なモデルなどに可能性がある。

認知症フレンドリー製品・サービス:認知機能が低下しても地域で生活していける環境の整備が求められる。当事者の声を反映したユニバーサルデザインの導入が、事業の差別化の切り口となっている。

仕事と介護の両立支援:ビジネスケアラーをサポートする法人向けの事業。介護離職による経済損失を防ぐBtoBサービスとして、専門職の持つノウハウの転用などが期待されている。

nttdata-article-2026.2-vol.1-lead-sp-banner01

◆ 持続可能な「産福共創」を


これからの地域づくりについて、紀伊氏は持続可能なビジネスモデルの意義の大きさを強調する。未充足ニーズを民間企業が担うことは、誰もが最期まで自分らしく生きる権利と尊厳を守ることにつながるためだ。


紀伊氏は講演で、民間企業や行政の関係者に対し、「事業の収益性も一緒に考えながら、共通のゴールに向かって取り組んでみてはどうか」と呼びかけた。健全な保険外サービスが普及すれば、介護職が本来の専門的なケアに専念できる環境づくりにも結びつくはずだ。


最後に紀伊氏は、企業が単独で自社の製品・サービスを売り込むことばかりでなく、「行政や福祉の関係者はどこに問題意識を持っていて、自分たちのリソースで何ができるのかという発想を持つべきではないか」と促した。そのうえで、地域の課題を共有しながら共に解決策を探る「官民連携」や「産福共創」の重要性を改めて訴えた。


Access Ranking
人気記事
介護ニュースJoint