【天野尊明】介護分野で外国人材の扉を狭めてよいのか 迫る特定技能の受け入れ上限 超・人手不足時代にサービスを守るために
「2040年までに、57万人の介護職員の確保が必要」
こうしたセリフを耳にしたことがない介護関係者は、ほぼいないのではないでしょうか。この推計に基づいて単純に計算すると、毎年コンスタントに3万人強を増やしていく必要があるということになります。【天野尊明】
注目すべきは足元の介護職員数の推移です。お気づきの方も少なくないと思いますが、公表されている範囲の直近5年間ではわずか7千人ほどしか増えていません。現場の厳しい状況を鮮明に表した数字だと感じます。
問題なのはその内訳です。主として2020年以降、特定技能制度に基づき外国人材が加速度的に受け入れられたことはご存知の通りですが、その数は2020年6月末から2024年12月末までで約4万4千人でした。
つまり、その増加に迫るほどの国内人材の減少があり、人数が相殺された結果、「全体の介護職員数が7千人増に留まってしまった」ということができるのです。
このように、いまや我が国の介護を担う重要な仕組みとなった特定技能制度ですが、今年3月に政府が外食業の分野でその受け入れを制限すると発表したことで、危機感や問題意識が高まっています。
◆ 国内人材の減少はこれからが本番
特定技能制度の外国人材の受け入れには、分野ごとに上限が定められています。
介護分野(特定技能)は12万6900人。既に2025年度末までに約7万5千人を受け入れています。充足率は58.9%ですが、今年度に入っても受け入れは加速度的に進んでおり、このままでは来年度中にも上限に達すると見込まれています。
受け入れ見込み数の算出にあたっては、必要な介護職員数や人材確保の状況などを加味することになっています。前述した通り、介護分野は国内人材が減少している極めて厳しい状況です。地域のサービス提供体制を維持・強化していくためには、少なくとも現状の外国人材の増加ペースを維持していけるよう、継続的な受け入れが可能となる上限人数を改めて設定し直すことが妥当ではないでしょうか。
先日、ある介護事業者に状況を聞くと、彼の法人では介護保険制度の創設時に採用した当時40歳前後の職員が定年を迎え、続々と退職しているのだそうです。どのサービスでも歳を重ねた介護職員が多いことはご存知の通りで、あえて強調して言うまでもありません。つまり、ここからが国内人材の減少のピーク期と言えるのです。
また、これから生産年齢人口が減り続けていくなか、新規の国内人材の確保はますます難しくなるでしょう。
介護職員の賃上げやその基盤となる経営改善、そして職場環境改善や生産性向上、または採用支援や復職支援など、諦めずにあらゆる取り組みを進めるべきであることは言うまでもありません。
ただ同時に、外国人材を受け入れる扉が狭まっていくような事態は、何としても避けなくてはならないのではないでしょうか。









