9月20日に厚生労働省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」の第4回が開催されました。【石山麗子】
当初は4つだった論点が、今回までに集約されて以下の2つに焦点化されました。
◯ ケアマネジャーの専門性を更に発揮するために必要な業務の在り方や取り組みについて
◯ 幅広い世代に対するケアマネジャーの人材確保・定着に向けた取り組みについて
こうした流れをみると、この検討会はいよいよ終盤にさしかかってきていると言えるでしょう。
2つの論点は相互に関連しています。ここでは、喫緊の課題である「人材確保・定着」についてみていきましょう。
検討会の名称は「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」ですが、ここでの「人材確保・定着」の議論の対象は居宅介護支援です。その背景にはケアマネジャーの増減率があります。居宅介護支援と介護予防支援以外では100%超ですが、居宅介護支援と介護予防支援では減少している点が課題です。
ケアマネジャーの人材確保対策には、
◯ 資格保有者を増やす
◯ 従事者を増やす
◯ 離職者を減らす
などがあり、それぞれについてどんな具体策を講じることができるかが重要です。これまでの議論では、項目別で主に次のような意見が出されています。
国が行った調査によれば、直近3年間のケアマネジャーの離職要因は「年齢・体力面」が1位でした(※1)。ケアマネジャーの平均年齢は居宅介護支援が53.5歳、介護予防支援が48.4歳です(※2)。
居宅介護支援や介護予防支援は、利用者の自宅を訪問することを基本としており、施設などに所属するケアマネジャーと比べて移動に伴う体力と時間が必要です。近年は35度を超える日が続いたり、数年に1度しか起きないような豪雨が連続したりするなど、体力面・安全面を脅かす環境の急激な変化も生じています。
人員配置基準が異なるため一律に比較できないものの、表1で示された施設など「その他」のケアマネジャーの増減率は100%超です。外での移動を伴い、気象環境の変化なども加わった体力面の負担は、ケアマネジャー不足の要因との関連が推定されます。
ケアマネジャーが健康で快適に働けることは、利用者のよりよい支援へつながります。ケアマネジャーの目に見えにくい部分のがんばりや功績も含めて、もっと理解されなければなりません。
※1.日本総合研究所.令和5年度老人保健健康増進等事業.介護支援専門員の養成に関する調査研究事業
※2.三菱総合研究所.令和4年度老人保健健康増進等事業 居宅介護支援および介護予防支援における令和3年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業