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2022年11月1日

【小濱道博】介護保険改正、自己負担増でサービスの利用控えが起きる 事業者は危機感を持って原点に立ち返れ

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《 小濱介護経営事務所:小濱道博代表 》

2024年度の介護保険法改正をめぐる審議の中で、利用者負担2割の対象となる年間所得金額の引き下げ(対象拡大)が現実味を帯びてきた。【小濱道博】

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介護保険制度では、利用者負担は3段階。原則1割、一部が2割(単身で年間所得280万以上)、ごく一部が3割(単身で年間所得340万以上)となっている。当初、2割以上は利用者全体の20%と想定されていたが、実際は10%に満たないことが報告されている。


国は既定路線として、利用者負担を原則2割とする方向である。しかし、一気に2割負担に移行させることはない。階段を登るように、制度改正の度に2割負担の対象者を拡大していき、最後には原則2割とする方法を取っている。


本来は、2021年度改正で実現させるために3年前の介護保険部会でも審議されたが、当時は先送りされた経緯がある。その理由は、後期高齢者医療制度の自己負担2割の実現を優先したことにあった。今年10月より、単身で年間所得200万以上の75歳以上が、自己負担2割となっていることは承知の通りである。


次は、介護保険で利用者負担2割の対象拡大が実現しそうだ。そして、その所得基準は後期高齢者医療制度と同様に、単身で年間所得200万以上が見込まれる。


年間所得200万以上ということは、現役時代にある程度の企業に勤務し、企業年金などを受給している場合が確実に該当する。介護保険では後期高齢者という括りがないため、利用者全体の25%、利用者の4人に1人が該当すると思われる。


すでに介護サービスにおいても、後期高齢者の自己負担2割の影響が出始めている。


自己負担が1割から2割となった場合、病院の窓口で支払う金額が倍額となる。9月まで1万円を支払っていた場合、10月から2万円を支払うこととなる。しかし、受給される年金は同じ額しか振り込まれない。


そうすると、必然的にやり繰りが生じる。これまで買っていた物を買わなくなる。使っていたものを使わなくなる。そのやり繰りの対象として、介護保険サービスも例外では無いということだ。


コロナ禍が起こってから3年目となっている。この3年間で、多くの利用者は介護サービスを使わなくてもいいことを知ってしまった。特に休業を余儀なくされたデイサービスなどにおいては、未だに利用者数が元に戻らない事業所も多い。そのため、経営体力の弱い小規模事業所を中心に厳しい経営状況が続いている。


そこに、後期高齢者の自己負担2割が追い打ちをかけている。更に、2024年度から介護保険で自己負担2割の対象が拡大される可能性がある。


これが実現した場合の影響は、すべてのサービスに及ぶ。介護事業経営者は、もっと危機感を持つ必要がある。やり繰りの対象とならないためには、支払い金額が倍となっても、使いたいサービス、使わなくてはならないサービスであることが最低限で必要だ。


今一度、“自身が営んでいる介護サービスとは何か”という原点に立ち返らないといけない。まず経営者は、自分自身を利用者の立ち位置に置き換えて、自分が営んでいる介護サービスを支払い金額が倍になっても使うかを考えて欲しい。そこから、どうすれば良いかを考えることから、解決策が見いだせるはずだ。


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