2023年4月19日

【田中紘太】ケアマネこそLIFE活用を推進すべき 次の介護報酬改定での早期対応に期待

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《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》

昨年12月、今後の介護保険制度の見直しを検討してきた社会保障審議会の部会が「意見書」をとりまとめた。【田中紘太】

◆ 目立つ「適切なケアマネジメント手法」の記載


介護DX、科学的介護の展開、LIFEの効果的な活用などに関する記載が多く盛り込まれており、政府が国策として生産性の向上、自立支援・重度化防止の推進に力を入れていることが分かる。


これは介護支援専門員に関連する部分も同じで、我々もこれから一層の対応を求められていくことになるだろう。


ただ「意見書」をよくみると、居宅介護支援でのLIFEの活用に関する記載はそこまで多くない。全くないわけではないが、どうも抑え気味の印象を受ける。最近、厚生労働省が異例の多さで立て続けに通知を発出していることもあり、どちらかというと、「適切なケアマネジメント手法」の普及・定着の方を国の重点施策として意識している方が多いのではないか。


例えば、「適切なケアマネジメント手法」を反映させた法定研修カリキュラムの見直しは既に決定されている。法定研修カリキュラムが見直されると、ケアプラン点検支援マニュアルや課題分析標準項目についても、連動して「適切なケアマネジメント手法」の考え方が盛り込まれていくだろう。


このように、「適切なケアマネジメント手法」に関する話題の方が多いのが現状だ。一方で、LIFEを活用したケアマネジメントの実践や研修カリキュラムの見直しなどの話は、まだあまり聞こえてこない。

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◆ 期待されるLIFEの活用法


ただ、ケアマネがLIFEに取り組む意義は大きい。


新規の依頼を受けた際、他職種に先駆けてご利用者さま宅へ真っ先に伺うケアマネジャーが、LIFEの項目を正確にアセスメント、評価、入力できるスキルを身に付けることで、多職種へLIFEに関する情報提供を行うことができるようになる。


さらに、状態の変化に応じて、再アセスメント時にLIFEの再評価を行ってフィードバックデータを活用することで、ケアプランの見直しを行うこともできるようになる。


今年3月の審議会に報告された国の調査・研究事業の結果でも、「フィードバック票の活用は有用」との意見があったほか、具体的なケアの改善提案を希望する意見もみられたと報告されている。


また、ケアマネジャーは入退院支援に関わる場面も多いが、LIFEの項目は入院中の医療機関であればある程度集約していると思われる。医療機関ではまだLIFEが運用されていないため、退院の際にケアマネジャーがLIFE項目について詳細を聞き取り、データ入力を行うような活用方法も考えられる。


◆ なぜ国はやや控え目なのか


ただ、厚労省は現時点で居宅介護支援でのLIFEの活用を強力に打ち出してはいない。前述したように、審議会の「意見書」の書きぶりもやや控え目だ。


これは憶測だが、「適切なケアマネジメント手法」とLIFEを次の制度改正に合わせて同時に導入することで、ケアマネジャーの負担が大きくなると考えた配慮ではないだろうか。


2024年度の制度改正ではまず、「適切なケアマネジメント手法」を普及し、法定研修や法定外研修などを通じてそれを習得してもらう − 。私は国の方策をそうみている。その後、2027年度でLIFEを活用したケアマネジメントを推進していく計画ではないか、と考える。


LIFEと「適切なケアマネジメント手法」は相反するものではなく、関連する部分も少なくない。


ただ、現在ケアマネジャーがアセスメントツールで活用しているものは、認定調査項目をベースに課題分析標準項目を網羅しているものが多い。今後、アセスメントツールや課題分析標準項目を見直すことを考えると、まずは「適切なケアマネジメント手法」から先行的に浸透させていくことは理解できる。


そもそも、ケアマネジャーらが日頃から介護現場で使用するフォーマットや評価軸は多岐にわたる。今後、認定調査項目、課題分析標準項目、「適切なケアマネジメント手法」項目、入院時情報提供書、退院退所情報記録書、看護サマリー、そしてLIFEなどの整理統合が必要となっていく。


それ以外にもICF、課題整理総括表、東京都では「リアセスメント支援シート」というツールも使われている。フォーマットこそ違うが書かれている内容は概ね同じであり、必要に応じて転記をすることによる業務負担も生じている。


更には、要介護者のケアマネジメントと要支援者・総合事業対象者の介護予防ケアマネジメントでも様式が異なっている。様式を新たに作るのも良いと思うが、様式自体をなくすこと、統合すること、最終的にはLIFEなどに寄せていき、データを入力すれば円滑に利活用できるようにしていくことも必要ではないか。

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◆ 2027年度の対応では遅い


ただ筆者はこう考える。国策としてLIFEの利活用を進めていき、データの蓄積を行っていき、LIFEデータを基に改善や悪化を多職種で協議するのであれば、まずはケアマネジャーこそLIFEの活用を推進していくべきではないか。


2021年度の報酬改定で既に、居宅介護支援事業所でもLIFEを利用できるようになっているが、肝心の「科学的介護推進体制加算」が付いていないことから、多くのケアマネジャーの興味関心は薄いと思われる。


仮に2024年度の報酬改定で訪問介護、訪問看護にLIFE関連加算が付くようになり、居宅介護支援や福祉用具貸与にはそれが付かなかった場合、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が多職種に置いていかれてしまうのではないか。


2027年度の報酬改定まで待ってLIFE関連加算を導入するのでは遅い。ケアマネジャーはLIFEを使えない職種で、LIFEに関する共通言語が全く分かっていない − 。2024年度にしっかり対応しなければ、多職種からそう言われてしまうのではないかと懸念している。


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