第一法規 介護ねっとシリーズ
2026年4月14日

【和田誠】ケアマネの献身への依存は限界 シャドウワークをどう減らすか、より問われるべきこと

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《 認知症の人と家族の会・和田誠代表理事 》

介護保険はだれのためのものか。制度創設から四半世紀が過ぎ、改めてこの問いが突きつけられているように感じています。【和田誠】

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昨年来、介護保険制度の見直しを議論する審議会(社会保障審議会介護保険部会)などでも議論になったケアマネジャーのシャドウワークは、その象徴のひとつです。


シャドウワークとは、報酬上は評価されない、しかし現場では「やらないわけにはいかない」仕事のことと理解しています。


ケアマネジャーには通院の同行、入退院の調整、関係機関との細かな情報共有、家族への丁寧な説明、時には制度の狭間に落ちそうな人を拾い上げる相談対応など、給付管理票には表れない仕事が数多くあります。介護保険部会でも、こうした業務がケアマネジャーを疲弊させ、人材確保をより困難にしているという指摘が相次ぎました。


他方で、私たち「認知症の人と家族の会」に寄せられる声を聞いていると、「ケアマネジャーのシャドウワークによって、ようやく生活が成り立っている」という高齢者や家族が少なからずいることが分かります。


独居で認知症が進行していても、ケアマネジャーがこまめに訪問し、地域につなぎ、主治医やヘルパーと粘り強く連絡を取ってくれるからこそ、在宅生活を続けられる人がいます。


家族が疲れ切っているとき、予定外の電話に耳を傾け、「少し落ち着いてから一緒に考えましょう」と寄り添う、その時間もまたシャドウワークに含まれるでしょう。

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ここで問い直したいのは、本当にケアマネジャーご本人は、こうした仕事を「自分たちの業務外だ」と感じているのだろうか、という点です。


もちろん、現行の報酬体系の中で、限られた時間に多くの利用者を担当せざるを得ない状況では、「これ以上は難しい」と言わざるを得ない現実があります。一方で、ケアマネジャーの多くは、目の前の人の生活と尊厳を支えることこそ自らの専門性だと考え、制度の枠を超えて支援に関わってこられたのではないでしょうか。


何より重要なことは、その専門性に社会としてどう報いるか、ということです。


今のままでは、ケアマネジャーの良心と献身に依存して制度を維持しているに過ぎません。それは長くは続きませんし、ベテランほど燃え尽きて現場を去っていく構造を加速させます。


結果として、最も影響を受けるのは、支援を必要とする認知症の人や家族です。

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介護保険はもともと「利用者本位」を掲げて始まった制度です。しかし、その理念を現実のものにしてきたのは、介護職やケアマネジャー、一人ひとりの専門職の踏ん張りでした。


これからの議論では、「シャドウワークをどう削るか」だけではなく、「人の暮らしを支えるために不可欠な仕事を、どう公正に見える化し、評価し、支えるか」を正面から扱うべきだと考えます。


介護保険はだれのためのものか。制度は利用者のためのものですが、その制度を支える専門職が持続可能でなければ、利用者本位は空語になります。


制度を利用する側の立場から申し上げれば、「削るべきは、本来のケアではなく、現場を縛る非合理な仕組み」であるはずです。ケアマネジャーのシャドウワークをめぐる議論を、専門職と利用者・家族が共に「制度の再設計」を考える入り口にしたいと思います。


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