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2026年5月19日

【田中紘太】新たな登録施設介護支援、基本報酬どう設定? 個人宅を支える居宅ケアマネが不利にならない環境整備を

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《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》

国会では現在、住宅型有料老人ホームの入居者に特化したケアマネジメントの新たなサービス類型「登録施設介護支援」の創設を盛り込んだ、介護保険法などの改正案が審議されています。【田中紘太】

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「基本報酬は居宅介護支援と同等、おおむね据え置きになるのではないか」


現場の関係者の間では、そんな楽観論もささやかれています。ただ私は、登録施設介護支援の基本報酬はこれまでより低く設定すべきと考えます。この判断こそが、居宅介護支援のケアマネジャーの健全性を守れるかどうかのポイントになると思うからです。これは、来年度の介護報酬改定をめぐる大きな焦点のひとつとなるでしょう。


◆ 基本報酬の据え置きがもたらす歪み


なぜ、登録施設介護支援の基本報酬は低く設定すべきなのでしょうか。地域の個人宅を一件一件まわる居宅介護支援とは、移動コストや業務負担が大きく異なるという紛れもない現実があるからです。


もし、基本報酬が同じであればどうなるのか。「住宅型ホームの入居者を中心に担当している併設型の事業所の方が儲かる」という構造がより強固になり、事業者が一斉に登録施設介護支援へ流れてしまうでしょう。


当然、こうした構造になれば多くの利用者を抱える住宅型ホームの力はさらに強まります。ケアマネジャーは経営面で都合の良いケアプランの作成を求められ、営業的にそれに応じる「囲い込み」がより横行する結果を招くでしょう。これでは、ケアマネジャーの健全性は根底から崩れ去ってしまいます。


登録施設介護支援の報酬を低く設定すべきという主張は、財務省も4月末の審議会で展開しています。これは客観的なデータに基づくもので、現場の実態を正しく捉えた意見だと言えるでしょう。


明確な根拠となるのは、昨年度の調査・研究事業(居宅介護支援事業所における介護支援専門員等の業務実態に関する調査研究事業)の報告書です。ケアマネジメントの利用者1人あたりの労働投入時間をみると、住宅型ホームは個人宅より月22.8%少ないと指摘されています。両者の違いは明白。これが揺るぎのないファクトです。

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◆ 求められる不条理の是正


では、登録施設介護支援の基本報酬はどう設定すればいいのでしょうか。私は既存の同一建物減算の強化でお茶を濁すのではなく、基本報酬そのものと特定事業所加算(*)で居宅介護支援と明確な差をつけるべきと考えます。

* 例えば登録施設介護支援では特定事業所加算を算定できないなど。

例えば、訪問介護の同一建物減算のパーセンテージをひとつの参考値として、居宅介護支援より10%から15%ほど低い基本報酬とするのはどうでしょうか。


患者の居住場所によって管理料が大きく変わる医療の診療報酬(在医総管・施設総管)を見習うべきです。個人宅などが高く設定される仕組みで、これが最も理にかなっていると考えます。


新設する登録施設介護支援を、「誰もがやりたがる楽で儲かるサービス」にしてはいけません。その移動コストや業務負担を適切に反映しつつ、個人宅を支える居宅介護支援のケアマネジャーが不利にならない環境、住宅型ホームと対等に渡り合える環境の整備を目指すべきです。それこそが、今後のケアマネジメントの健全性を守る正しい制度ではないでしょうか。


現在の介護報酬も既に、住宅型ホームに併設される事業所の方が経営的に有利となる仕組みになっています。要介護度の重い利用者が集まりやすいほか、相対的に業務負担が軽くケアマネジャーを確保しやすいという構造が、実際に多くの事業者やケアマネジャーの行動に影響を与えています。


そのしわ寄せは、個人宅の高齢者とそれを支える居宅介護支援のケアマネジャーに来ています。登録施設介護支援の創設を契機に、こうした不条理はしっかりと是正すべきではないでしょうか。


国には毅然とした対応をとっていただきたい。実現すべきなのは、居宅介護支援のケアマネジャーが住宅型ホームのビジネスモデルに飲み込まれることなく、専門職としての独立性や公正・中立さを保ち続けていけるようにすること。来年度の介護報酬改定を、こうした良い環境づくりに舵を切る転換点にしてほしいと願っています。


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