【結城康博】地域区分の見直しで介護報酬は「実質マイナス改定」も 国と市町村は事業所の減収を防げ
来年度の介護報酬改定に向けた協議を進めている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で10月28日、厚生労働省は地域区分の見直しの方向性を提示した。【結城康博】
これは心配なテーマだ。私は介護現場の分断を招くのではないかと危惧している。実質的にマイナス改定となる地域が生じかねず、そうなれば事業所・施設は大きな打撃を受けることになる。
厚労省は経過措置を用意する方針を示しており、最終的には市町村がどうするか判断することになるであろう。今、地域によっては重要な局面を迎えている。
◆ 地域区分は7段階から5段階へ
周知のように介護報酬は1単位10円が基本だが、実際の単価には人件費の地域差が反映されている。現行の地域区分は1〜7級地と「その他」に分かれ、例えば次のように上乗せ割合が設定されている。
● 1級地:東京都特別区など=上乗せ20%
● 2級地:横浜市、川崎市、大阪市など=上乗せ16%
● 7級地:札幌市、岡山市など=上乗せ3%
● その他:上乗せなし
この地域区分は、原則、公務員の地域手当に準拠して定められている。今回それが見直され、全国の分け方が7段階から5段階へ再編されることに伴って、介護報酬の地域区分も変更されることになった。
これが実施されれば、来年度の改定は実質的にプラスとなる地域と、マイナスとなる地域が出てくる。厚労省はこれまでの対応を踏襲する形で、経過措置を用意して市町村の意向を反映させる構えをみせている。
◆ マイナスは避ける仕組みを
心配なのは、地域区分が下がる結果となる市町村が出てくることだ。たとえ来年度の改定で報酬が引き上げられても、上乗せ割合の低下によってその効果が相殺されかねない。改定の内容によっては、事業所・施設の収入が従前を下回る水準となり、実質的なマイナス改定となる懸念がある。
もっとも、上乗せ割合が上がる市町村の中には、介護報酬の引き上げに伴う保険料の上昇を懸念するところもあるだろう。そのため、経過措置を活用して上乗せ割合を現行水準に据え置くことも考えられる。結局、どう判断するかは市町村次第と言えなくもない。
私は、もし実質的にマイナス改定となる地域が生じれば、昨今の物価高などによる厳しい経営環境も相まって、介護崩壊を加速させる事態を招きかねないと考える。
そのため、厚労省から、少なくとも上乗せ割合が下がる可能性のある市町村に対して、経過措置を用いて現行の水準に据え置くよう直接的に助言すべきではないか。
確かに、介護保険制度は市町村が一定の権限をもって運営することになってはいる。ただ、地域を支える事業所・施設をさらに追い詰めるマイナス改定とならないよう、国からも市町村に促すべきであろう。
そして、介護事業者も、自分たちの地域区分がどう見直されるのか進捗状況を把握し、市町村へ何らかのアクションを講じるべきである。










