政府、家事支援の国家資格を新設 成長戦略を閣議決定 介護現場からは戸惑いや疑問の声も
政府は21日、高市早苗政権で初めて策定した成長戦略(日本成長戦略)を閣議決定した。【Joint編集部】
現役世代が介護や子育てで仕事を辞めざるを得ない状況に追い込まれるのを防ぐため、家事支援サービスの国家資格を新たに創設する構想を盛り込んだ。来年秋を目途に第1回の国家試験を実施できるよう、関係審議会での議論や試験問題の作成、試行試験の実施など必要な準備を進める方針を打ち出した。
介護や子育てによる離職を減らし、新たな成長戦略の重点分野などを支える労働力の確保につなげる狙いがある。
親族の介護などを理由とする離職は、年間およそ11万人。今なお増加傾向にあり、ビジネスケアラーを支える対策の強化は急務だ。
政府は今回の成長戦略に、技能検定の枠組みで複数等級の国家資格を新設すると明記。家事支援サービスの品質の向上と信頼性の確保を図り、その普及・浸透につなげたい考えを示した。
あわせて、家事支援サービスの利用促進に向けて「税制措置を含む新たな支援策を検討する」とも書き込んだ。
こうした政府の方針に対し、介護現場の関係者の受け止めは複雑だ。期待と懸念が交錯し、戸惑いや疑問の声も上がっている。
全国の介護職員らで組織する日本介護クラフトユニオン(NCCU)の村上久美子副会長は、「新たな国家資格の創設自体は否定しない」としつつ、「介護離職の主因は家事支援の不足ではなく、直接的なケアの不足とそれに伴う家族の過重負担だ。離職を防ぐ施策としては実効性を欠く」と指摘。「既存のヘルパーの処遇改善や人材確保など、在宅介護の基盤強化を優先すべき」と主張した。
また、「全額自費の家事支援サービスを使えるのは、経済的にゆとりのある世帯だけ。多くの世帯は十分に使えない懸念がある」と問題を提起。「要介護1、2の生活援助などを介護給付から外す制度改正につながる恐れもあり、今後の動きを警戒すべき」と述べた。
一方、在宅介護の保険外サービスなどを展開するイチロウ株式会社の水野友喜代表取締役は、「新たな国家資格の創設を歓迎する。質が担保された保険外サービスを社会に浸透させる追い風になる」との認識を示した。
そのうえで、「現時点では懸念点も多い。例えば、既存の初任者研修との違い、担う業務の範囲、役割分担などが曖昧なままでは、利用者にも働き手にも混乱を与える。事業者にとっては、各資格の格付けや給与水準の高低なども分かりにくい」と指摘。「何より重要なのは、保険内・外の相互補完的で調和のとれた共存だ。制度の歪みや矛盾、関係者の分断などを生まないよう、全体像の丁寧な整理と設計を求めたい」と述べた。











