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2026年6月3日

【村上久美子】管理者の兼務、約8割が「業務に支障」 形骸化する基準緩和の前提 介護職を疲弊から守れ

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《 UAゼンセン日本介護クラフトユニオン・村上久美子副会長 》

介護現場では、人材不足や小規模事業所の経営上の制約などを背景に、管理者が他の職務を兼務することは珍しくない。【村上久美子】

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管理者には、事業所の運営管理、職員への指導・助言、法令遵守、苦情対応、緊急時対応など、多岐にわたる責任がある。加えて、現場では管理者自身が実務を担いながら、日々の事業所運営を行っている。


2024年度の介護報酬改定では、管理者の果たすべき役割を明確化したうえで、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内の事業所に限らず、他事業所の職務との兼務も可能とされた。これは全サービス共通の措置。人材確保が難しい介護現場において、柔軟な人員配置を認めることには一定の合理性がある。


◆ 責務を圧迫する兼務の姿


しかし、問うべきは兼務そのものの是非ではない。


問題は、制度が前提とする「管理者がその責務を果たせる場合」という条件が、介護現場で本当に満たされているのかという点である。管理者の役割を明確化することと、管理者がその役割を実際に果たせることは同じではない。責務が明確になっても、それを果たす時間、人員、権限、支援体制がなければ、管理者の役割は形骸化しかねない。


私たち日本介護クラフトユニオン(NCCU)が今年4月に実施した「管理者の兼務に関する実態把握アンケート」では、組合員の管理者1094人から回答を得た。回答者のうち、管理者としての経験が5年以上の人が約60%を占めており、現場の実態を一定程度把握した管理者の声といえる。


調査結果では、回答者の68.5%が「管理者以外の職種を兼務している」と回答した。さらに、この兼務している管理者のうち、管理業務に「支障がある」とした割合は78.8%、所定労働時間内に業務が「収まらない」とした割合は77.6%にのぼった。


これらの結果からは、管理者の兼務が現場で広く行われているだけでなく、その多くが管理業務への支障や時間的な限界を伴っている実態がうかがえる。制度上は「責務を果たせる場合」に兼務を認めているにもかかわらず、実際の介護現場では、責務を果たすための余力を欠いたまま兼務が行われている可能性がある。


つまり、データから見えてくるのは、「責務を果たせる兼務」ではなく、「責務を圧迫しながら続けられている兼務」の姿である。

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◆ 実質的な担保への転換を


管理者の仕事は、単なる事務処理や介護現場の補助ではない。職員が適切にサービスを提供できるよう業務を管理し、運営基準や加算要件を確認し、事故や苦情に対応し、必要に応じて職員へ助言・指導を行う役割を担っている。これらは、サービスの質と安全を支える基盤であり、片手間で果たせるものではない。


もちろん、管理者の兼務を一律に否定することは現実的ではない。人材不足が続く中で、管理者が現場の実務を担わなければ事業所の運営が成り立たない場合もある。


特に小規模事業所では、管理者を完全に専任とすることが難しい実情もある。その意味で、兼務の柔軟化自体には一定の必要性がある。


しかし、柔軟化には条件がある。管理者が管理者としての責務を果たせることが、その前提である。兼務を認めるのであれば、管理者が管理業務に充てられる時間を確保できているのか、担当する実務が過大になっていないか、職員指導や法令遵守の確認が行える体制があるのかなどを、実質的に確認する必要がある。


管理者の責務を明確化することは重要である。しかし、それだけでは十分ではない。明確化された責務を果たすための時間と体制が保障されなければ、責任だけが管理者個人に集中する。


今求められているのは、管理者個人の努力に依存した運営ではなく、管理者が管理者として機能できる制度的・組織的な支えである。兼務を認めるのであれば、その前提である「責務を果たせる状態」を、管理者個人や事業所任せにせず、制度運用の中で実質的に担保していく必要がある。


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